2018年4月5日木曜日

地価の変動から投資対象地を考える

こんにちは。
栄不動産株式会社です。
http://s-fudousan.cbiz.co.jp

平成30年の「公示地価」が3月27日に公表され、関東南部を中心とする
「東京圏」は住宅地、商業地ともに5年連続で上昇しました。

特に東京23区ではすべて地点で地価が上昇しました。
荒川区や北区、足立区など都心からやや離れた区で上昇率が大きくなっていて
国土交通省は3年前の「JR上野東京ライン」の開業などで
交通の利便性が向上したことが要因だとしています。

東京圏と大きく括ると地価が上昇しているわけですが、場所によっては
まだまだ下落の続いている地点もあります。

地価が上昇している場所、下落している場所を比べてみると
不動産投資をする場所を探すために参考になる指標の影響が大きく出ています。



〇土地の価格変動要因



土地の価格の変動には様々な要因があります。
金融・財政政策、税制や法律の変更、経済状況や需給のバランスなどの要因です。

例えば、リーマンショックなどの経済面で影響のある事件があると
地価が下がる「経済要因」や新しい電車の路線ができる、
新しい道路ができるなどの要因で需要が増えることによって
価格が上昇する「需給のバランスによる要因」などがあります。



〇地価の変動から投資対象地の判断をする



地価変動の要因のうち、個別の地域に影響のある需給のバランスに着目すると
投資対象地として適切かどうか判断ができます。

神奈川県の住宅地を例にして地価の変動を見てみると
神奈川県全体では0.1%の上昇ですが、横浜市(1.0%)、川崎市(1.4%)、
相模原市(0.8%)の都心へのアクセスに優れた地域は上昇率が高くなっています。

他には利便性に優れた大和市や駅前再開発の進む海老名市では
上昇率が高くなっています。

都心へのアクセスの悪い三浦半島や県西部は下落が継続し、
二極化、都心回帰がさらに進行しています。

この傾向は千葉県、埼玉県でも同様です。

神奈川県が発表した概要でも
「都心アクセスに優れ、駅徒歩圏内で利便性が高く、地勢が平坦な住宅地では、
需要は堅調であるが、総額がかさむ地点では、高値警戒感から需要に
一部弱さも見られる。

また、都心アクセスに劣り、駅徒歩圏外で利便性が低く、地勢に起伏のある
住宅地では、人口減少・高齢化が進行し、依然として下落幅が大きくなっている。」
とされています。

地価の上昇している地域はアクセスが良い場所のため人口流入があり、
駅徒歩圏内では需要が高くなります。
人口が増えることで経済的にも活性化されます。

経済が活性化すると商業地でも好立地の物件への新規出店意欲が強くなり
店舗賃料は堅調となります。

地価の下落している地域はアクセスの悪さから人口減少が起きている可能性が高く、
採算があわなくなった公共交通機関の減便などがあればさらに利便性が下がり、
さらに人が減るという負のスパイラルに陥ります。

賃貸需要の高い場所の共通点は以下の3点です。
1.通勤・通学などの交通のアクセスの良さ
2.地域の人口の多さ・若年層の人口流入
3.居住するには買い物も金融機関も学校もあって便利な場所

現在、地価の上昇している場所は上記の3点を備えている場所ですから
投資をする場所として適していると言えます。


〇融資状況が変わりつつある中で不動産投資を考え直す時期



日銀のアパートローンへの警戒感やシェアハウスへの融資問題などで
不動産投資への融資は大きく変わっていく可能性があります。

今までは「フルローンやオーバーローンを利用できる物件」という
条件で物件を探している人がたくさんいましたが、融資状況は少しずつ
厳しくなっています。

昨年から金融庁がアパートローンの監視を強化しているという報道が
度々されてきました。

今後、金融機関の融資基準や担保評価の方法が変わる可能性があり
現在金融機関が融資をしている物件が利益確定をする数年後に同じように
融資を利用できるか分からないという状況になっています。

物件を売るときに融資が利用できないということは需給のバランスで
物件価格に大きな悪影響を及ぼします。

これからは融資が組めるという理由で物件の良し悪しを判断するのではなく、
不動産が持つ本来の価値である立地や収益性に注目して
物件を探す時期にきているのではないでしょうか。

2018年2月6日火曜日

かぼちゃの馬車問題に見る不動産投資失敗の要因

こんにちは。
栄不動産株式会社です。
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東京都内に女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を展開するスマートデイズが
オーナーに対してサブリース賃料の支払い停止を発表しました。

物件を購入したオーナーは約700人といわれていて突然の支払い停止で
自己破産者が多数でるという予測もあります。

しかし、かぼちゃの馬車に投資をした人が全て自己破産をするかというと
そんなことはありません。

サブリース会社が破たんしたとしてもリカバリーできる人と
自己破産しか道がなくなる人の差はどこにあるのでしょうか?




〇かぼちゃの馬車、投資失敗の原因


①物件の立地


楽待に掲載された記事によれば、2017年10月末時点でのかぼちゃの馬車の
入居率は40%程度です。

かぼちゃの馬車のシェアハウスは現在もホームページ上で
入居者募集が続いています。

物件によっては入居率40%どころか20%の物件もあります。
逆に入居率80%の物件もあります。

かぼちゃの馬車は物件ごとに建物の仕様や広さに大きな差はないので
入居率の差は立地条件の差と考えられます。

平成25年に国交省がシェアハウス入居者の実態調査の結果を公表しています。
入居動機は
「家賃が安い」「立地が良い」「初期費用が安い」がベスト3で
一般の賃貸住宅とほとんど変わらない傾向です。

かぼちゃの馬車のシェアハウスはリビングなどの設備・共用部分は
それほど充実していないので上記の3点はとても重要になります。

かぼちゃの馬車のホームページを見ても駅から遠い物件は
入居率が悪い傾向があります。


②パッケージローン


かぼちゃの馬車のシェアハウスに積極的に融資をしていたのはスルガ銀行です。
そのスルガ銀行が融資を引き締めたことで新規物件の建築のペースが急激に鈍り、
販売利益でサブリース事業の赤字を補填できなくなり資金繰りが悪化したのが
賃料支払い停止の一因とされています。

そもそもシェアハウス自体が融資を受けにくい状況ですから購入者は
スルガ銀行以外に金融機関の選択肢はなかっただろうと思われます。

このローンの最大の問題点は「売却時にどうするのか」ということです。
スルガ銀行が融資をしなくなってスマートデイズが行き詰まったのと同様に
購入したオーナーが売却する時にスルガ銀行が融資をしなければ
現金による購入者以外に売却ができないということになります。

スルガ銀行は「スルガ銀行株式会社」です。
株主から調達した資金で事業を行い、利益を株主に配当する義務があります。

経営判断で融資方針が変わることは予測できるのですから、売却時の見通しを
考える時に次の購入者が融資を利用できない可能性は考えておくべきでした。

需要と供給の問題で一部の人しか購入できない物件は価格が大幅に下がります。
今回の賃料支払い停止がなくてもかぼちゃの馬車のシェアハウスは
もともと売却が難しい物件ということだったということです。



③フルローンを理由に物件購入


多くのかぼちゃの馬車のシェアハウス購入者はフルローンで物件を購入しています。
諸費用はフリーローンを利用して自己資金の投入を極力減らしているようです。
自己資金を使わずに投資ができるから購入を決めたという人も少なくないでしょう。

本来、収益物件は収益性を重視して物件の良し悪しを判断しますが
最近は物件の収支よりも融資が通るかどうかを重視する傾向があります。

立地が悪い物件にもフルローンがでていたようですが、
物件の収支が悪くても融資が通るということは収支が悪化した部分は
購入者の信用(本業の給与)でカバーできるという銀行の判断があると思います。

フルローンが組める=銀行も高評価の良い物件と間違った判断が
あったのではないでしょうか。

フルローンが組めることを理由に物件を購入したのなら、
結果として投資家・不動産賃貸業の経営者として経営判断を誤ったと
言えるでしょう。


④サブリース


サブリース賃料が支払われなくなったことでサブリース契約は
継続できなくなります。

オーナーは新たにシェアハウスの運営会社を探すか
自主管理で対応するしかありません。

シェアハウスの自主管理は難しいため運営会社に委託することが一般的ですが、
新たな運営会社が見つかるまではオーナー自身が対応するしかありません。

さらにかぼちゃの馬車のサブリースはスルガ銀行のフルローン融資と
帳尻を合わせるため(ローン返済額を賃料が上回る必要がある)
もともと実現できない賃料水準だった可能性もあり合理性に疑問があります。


〇かぼちゃの馬車のシェアハウス特有の失敗なのか



上記の失敗の原因を考えると、この問題はかぼちゃの馬車特有の失敗とも
言い切れません。

立地の悪い物件を個人の信用力で購入している人はたくさんいます。
その物件が遠隔地の場合にサブリースを利用していたり、
自主管理が難しい場所の場合もあります。

例えば首都圏の居住者が地方の遠隔地の物件をスルガ銀行のフルローンで購入して
売主の指定したサブリースを利用している場合はかぼちゃの馬車の事例と
重なる部分が多くあります。

このケースでサブリース会社が更新時に賃料を改定したり、
スルガ銀行が地方の融資を引き締めたりすることは十分に考えられます。

かぼちゃの馬車の問題には物件を供給しサブリース契約の責任を果たせなかった
不動産会社に大きな責任があります。

不動産会社が融資審査のために顧客の資産内容を改ざんしたという話しもあり
改ざんした側はもちろん、見抜けなかった金融機関にも責任があるかもしれません。

しかし、投資は自己責任である以上、最終的には物件オーナーが
責任を負うことになります。

今回は銀行の融資の引き締めがサブリース会社の経営に影響する極めて
稀なケースではありますが、立地はもちろんサブリース賃料の水準など
購入前によく調査をすれば避けられた失敗かもしれません。

調査をしたうえでリスク回避策を考えていたオーナーはサブリース賃料が
ストップしてもうまく処理をして運営を継続できることでしょう。

フルローンが組めると理由で安易に購入を決めたのなら
投資家・事業主としては論外で不動産賃貸業に参入するスキルが
足りなかったと言われても致し方ありません。

「かぼちゃの馬車の問題」はかぼちゃの馬車特有の問題ではなく
不動産投資全般に関わるものですので、これから投資をする人は
ぜひ理解をしておいた方が良いでしょう。


2017年12月26日火曜日

2017年の投資用不動産市場を振り返る

こんにちは。
栄不動産株式会社です。
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2017年もあと5日となりました。
不動産に投資をした人、他の資産に投資をした人、
利益確定のために資産を売却した人、何もしなかった人、
いろいろな行動をした人がいると思います。


今回は2017年の不動産市況を振り返ってみようと思います。



〇地価の上昇が継続



公示地価・路線価ともに上昇傾向が続きました。
下落幅の小さくなっていた住宅地の地価はわずかながらプラスに転じ
全体として堅調に推移しています。

低金利でお金を借りやすい環境が地価上昇の要因のひとつとされています。

全体が堅調な一方で下落が続いている地点もあります。
通勤や買い物に便利な駅から徒歩圏内の地価が上がり、
駅から離れた不便な場所の地価は下がるという
二極化が全国的に広がっているようです。


〇投資用不動産市場は?



不動産投資と収益物件の情報サイト「健美家」は毎月、全国の収益物件のデータを
集計し、最新の市場傾向として発表しています。

建美家の調査によると2017年の投資用不動産の利回りはほぼ横ばい状態でした。


2017年不動産利回り


投資用不動産の利回りは2013年以降下がり続けていましたので
この1年間で投資用不動産の価格上昇は一服したと考えられます。


〇金融機関の融資が厳しくなった



建美家の不動産投資家へのアンケートによると金融機関の融資が厳しくなったと
感じている人が半数を超えました。

不動産投資家 金融機関の融資姿勢


リーマンショック後の富裕層や高属性者以外は不動産投資ができない時期と
比べれば融資は利用はやすい状態が続いていますが、安定した収入があれば
だれにでも貸してくれるほど緩くなくなったように感じます。


金融庁がアパート融資を警戒しているという報道が散々されていましたが
日銀が公表した10月の「金融システムレポート」でも新規実⾏ベースでは、
個人による貸家業向けが前年比マイナスに転じているほか、個人の資産管理会社や
地場の不動産業者を含む中⼩企業向けの伸び率も急速に低下していると記載があり
融資が厳しくなっていることが分かります。


日銀のレポートには
「これまでの不動産市況の上昇傾向に変化が窺われつつあることや
⼀部地域で賃貸住宅の空室率の上昇が続いていることも踏まえると、
⼊⼝審査や中間管理などの⾼度化を通じて信⽤リスク管理の実効性を
これまで以上に⾼める必要がある。」としています。


一定の資産がなければ融資が受けられないという状況になりつつありますが、
今までが簡単に融資が受けれられただけで本来の審査状況に戻ったと
言えるかもしれません。




国交省は低金利でお金を借りやすい環境が地価上昇の要因のひとつ
と指摘しています。

今回の融資引き締めにより
「不動産取引が減少し需要減による価格下落」が起きるのか?

不動産を買う人も売る人も2018年は金融機関や金融庁の動向に
注目して行動してください。




★━━━━━━━━━━━ ★    年末のご挨拶   ★ ━━━━━━━━━━★

 平素は、格別のご愛顧を賜り、心よりお礼申しあげます。
 年末年始の休業についてご案内いたします。

 休業期間は12月28日(木)から1月3日(水)となっております。
 新年1月4日(木)より通常営業いたしております。

 どうぞよいお年をお迎え下さいますようお祈りいたします。



2017年12月13日水曜日

「不動産投資本」出版の仕組み

こんにちは。
栄不動産株式会社です。
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東京ではたくさんの不動産投資のセミナーが開催されています。
セミナー出席者には主催者や講師が書いた本がプレゼントされることがあります。

メールマガジンの読者になるだけでその会社の社長が書いた本のPDF版が
プレゼントされたり、不動産投資本はいろいろな方法で無料でもらえます。

○冊買ってくれた人には○○が特典としてついてくるなどの広告も見かけます。

アマゾンで不動産投資のカテゴリーで本を探すと
500以上の本が売っていて、2017年に出版された本だけでも
100以上の不動産投資本があります。

不動産投資本の出版ラッシュには出版者側が

仕掛けている仕組みに原因があります。




○不動産投資本の大半は広告




当社にも定期的にいろいろな出版社から
不動産投資本出版の勧めの連絡がきます。

数百万円の費用負担で単行本の出版ができて、費用によっては
本屋さんの平積みの目立つポジションに本を置いてもらえるそうです。

数百万円をかけて企業や個人が本を出すのはブランディングのためであることが
多く出版という信用力を利用した広告としての効果を狙ったものです。

「○冊買ってくれた人には○○をプレゼント」などの企画は広告費の回収のために
行われている可能性が高いです。

販売されている全ての本が広告ではありませんが、
大半は広告と考えて良いと思います。



○不動産投資本の情報は少し冷静に分析する




不動産投資本=広告と考えれば、内容を冷静に考えられると思います。
自分の会社や事業を宣伝したいのですから魅力的なことがたくさん書いてあります。

例えば、有名な『金持ち父さん 貧乏父さん』(ロバート・キヨサキ氏著)も
著者はアメリカ人でアメリカの話だということを差し引いて読まなければ
日本の不動産投資に活かせる正しい情報にはなりません。

この本にはたくさんの有益な情報や考え方が書かれていますが、
実例は「アメリカでアメリカ人に起きたこと」ということを
前提として情報をとらえる必要があります。


アメリカではノンリコースローンが主流です。
ノンリコースローン(non-recourse loans)とは、
対象物件の事業収益または事業資産の範囲に債務履行が限定された融資のことです。

借手は対象物件の事業以外の資産を処分してまで、
債務の返済を求められることはありません。
その分、金利は高くなります。

日本では一部の不動産証券化市場におけるSPCに対してノンリコースローンによる
融資が行われているようですが、一般の投資家向けには行われていないようです。

アメリカと日本では事業が失敗した場合のイメージにも差があります。
ドナルド・トランプ氏はカジノ・リゾート事業を経営する会社を
破産させた経験があります。
しかし、今はアメリカ合衆国大統領です。

制度の違いはありますが、日本では破産したことが公になっている人が
総理大臣になる可能性は相当に低いのではないでしょうか。

日本とアメリカでは少し調べるだけでもこれだけの違いがあります。
『金持ち父さん 貧乏父さん』を読んで参考にするとしても
本に書いてある情報の取捨選択が必要になります。

日本の不動産会社(有名な投資家)が広告目的で書いている本ならば、
なおさら取捨選択が重要になります。


〇大切なことは情報の分析



不動産投資本が広告やブランディングが目的なものと考えれば
内容を吟味する必要性があることは明らかです。

不動産会社なら顧客獲得や囲い込みが目的でしょう。
最近は無理な投資でお金に困った有名投資家が本を広告にして
(メルマガ登録で著書をプレゼントなど)
多額の授業料がかかる不動産投資塾に勧誘をしていたりします。

不動産を扱う仕事をしていると、この人は「不動産業者にだまされたな」と
感じることが多々あります。
※最近はだます側に不動産コンサルタントや有名な大家さんの投資塾が加わり
 とてもカオスな状態になっています。

「だまされた」というのは噓をつかれたのではなく、
必要なことを伝えられていないことのほうが多いように感じます。

これから起きる可能性のある運営上のリスクや売却時の見通しなど
聞かないと教えてくれないことはたくさんあります。

本やセミナー、知人からのアドバイスなど情報を得る機会は
たくさんあると思います。

情報を得た時にはフラットな視点でその情報を分析してください。
絶対に鵜吞みにしてはいけません。
自分にとって有利だったり自分の意見と同じことが必ず有益とは限りません。

冷静な情報分析が不動産で失敗しないためには大切です。


2017年10月30日月曜日

収益物件売却時の税金 

こんにちは。
栄不動産株式会社です。
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収益物件の情報サイト「建美家」によると金融機関の融資状況が
厳しくなったと感じる人が増えていて高騰した収益物件価格も
調整局面が近いと言われ始めています。

このような市況の影響もあり収益物件の価格が高騰しているうちに
利益確定のために収益物件を売却する人が増えています。

リーマンショック後に収益物件を購入した人は利益が出ていることもあるので
税金について確認しておかないと思わぬ支出でこんなはずじゃなかった
ということになってしまうこともあります。

今回は収益物件売却時の税金について取り上げます。



〇個人が所有している収益物件を売却した場合




賃貸マンションのような収益物件を売却した場合も
居住用不動産の売却と同じく譲渡所得(売却益)に対して
所得税・住民税が課されます。

譲渡損失(売却損)が発生する場合は、所得税・住民税は課税されません。

その譲渡損失は、同年中に売却した他の不動産の譲渡益と損益通算することは
可能ですが、給与所得などの他の所得と損益通算することはできません。

個人が土地や建物を売ったときの譲渡所得に対する税金は、
事業所得や給与所得などの所得と分離(分離課税)して計算することになっています。


➀収益不動産を売却した場合の税金の計算方法



■譲渡所得の計算式  
      譲渡所得 = 譲渡収入金額 -(取得費※1 + 譲渡費用※2)

上記の計算の結果、譲渡所得がプラスになれば、譲渡益になります。
つまり売却でいくらもうけたのかに対して課税されます。
売却の結果がマイナスになれば、譲渡損となり課税されません。

※1 取得費
売った土地や建物の購入代金(建物の取得費は減価償却費相当額を差し引いた金額)
→1年間の減価償却費の計算方法(定額法の場合):取得価額 × 定額法の償却率

購入金額が不明な場合には売買価格の5%を取得費とみなします。
(相続の場合は取得費を引継ぎ)

他には取得のために支出した立退料・測量費・造成費用などのうち
必要経費に算入されていないものを含みます。

減価償却されていたり、経費計上したものは2重に計上することはできないので
取得費とすることはできません。

上記の理由で建物代金を高く設定した人は取得費が少なくなる可能性があるので
売却の時に譲渡所得税が高額になることがあります。

※2 譲渡費用
売却に要した費用を指します。
具体的には仲介手数料・司法書士費用・測量費・売買契約書の印紙代・立退料
などがあります。


■税額の計算式    
         税額 = 譲渡所得 × 税率(所得税・住民税)

〈税率〉
短期(譲渡の年の1月1日で5年以下)  39.63%(所得税30% 住民税9%)
長期(譲渡の年の1月1日で5年超)   20.315%(所得税15% 住民税5%)


②計算例


・平成24年9月1日に購入したアパートを売却した場合の計算例

売却した日 平成29年10月1日
売却価格 5,000万円
購入時の物件価格 6,000万円 内訳:土地3,000万円・建物3,000万円
購入時の経費は運営時に経費計上済み、建物は2,000万円減価償却済み
譲渡費用 200万円

譲渡所得の計算
売却価格5,000万円 -(取得費:4,000万円 + 譲渡費用:200万円)=800万円
取得費は購入価格6,000万円 - 減価償却済みの建物価格2,000万円
譲渡所得 800万円×39.63%=317万400円


平成24年9月1日に購入した不動産を平成29年10月1日に譲渡した場合、
カレンダー上は5年を超えても譲渡した年(平成29年の1月1日)で
5年を超えなければ長期譲渡所得となりません。
平成30年1月1日以降に譲渡した場合に長期譲渡所得となります。



〇法人が所有する収益物件を売却した場合




法人が所有する収益物件を売却した場合、利益が出ても損失が出ても
他の所得(売上など)と合算します。

不動産の売却益が分離課税される個人との違いです。
法人は他の所得と合算して法人税率をかけて税額を求めます。

法人税率は売上や資本金によって異なります。

個人の場合、所有期間によって長期短期の税率がありましたが
法人には所有期間は関係ありません。

〈計算方法〉
利益 = 売却額 -(売却した土地建物の簿価 + 譲渡費用)
税額 = (利益 + 他の所得) × 法人税率




個人法人ともに平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡した場合には
1,000万円の特別控除(法人の場合は損金の額に算入)を受けることがあります。
※控除を受けるには一定の条件があります。


アパートの売却時には「税金」と「経費」かかります。
売却をしてから「こんなはずではなかった」と後悔しないよう、
事前に売却時にかかる税金、経費を確認しておいてください。
なお、具体的な税額計算は税理士にご相談ください。


2017年10月23日月曜日

不動産投資は法人と個人どちらでするべき?

こんにちは。
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1物件1法人のスキームが流行してしまったせいか規模の大小にかかわらず
法人での不動産投資を希望する方が増えています。

今回は危ないスキームなど融資の話は別にして法人・個人での不動産投資について
税制面などのメリット・デメリットの比較をしてみようと思います。



○個人と法人の税率の違い



・個人が支払う税金

➀所得税 (課税所得金額×税率-課税控除額)
※国税庁タックスアンサーより転載







②住民税 (課税所得金額×10%+5000円) ※東京都の場合
③個人事業税 (課税所得金額-290万円)×税率


・法人が支払う税金

➀法人税  
②地方法人税
③住民税 
④事業税 
⑤地方法人特別税 


法人の所得金額や所在地によって異なりますが
実効税率は約21.5%~約39%です。

個人の所得税率は最大で45%、サラリーマンの場合には不動産の収入と給与所得が
合算されるため税率が高くなりがちです。

課税される所得の個人と法人との税率の比較で法人化を検討します。
家賃収入が大きくなっても、経費がたくさん掛かって利益の出ない物件ならば
法人化をする意味はありません。



○個人での投資と比較した法人のメリット・デメリット



【法人化のメリット】


・所得の分散

個人事業主は自分に給与を支払うことができないため
収入がそのまま所得になります。

法人は社長に給与を支払うことができます。
法人側では社長に払った給与が損金扱いとなり税金が少なくでき、
法人から給与を受けた社長は、給与所得控除が使えるため課税所得が下がる
というポイントで課税所得を減らし節税することができます。

家族を法人の役員にして給与を払うこともできます。
個人事業主が専従者に給与を払う場合と比べて制限が少ないため
所得を分散しやすくなります。


・多様な税金対策

➀法人向け生命保険の活用

法人向けの生命保険を活用することで保険料の一部または全部を
経費として計上することができます。

税務上のメリットだけでなく返戻金を修繕積立金として利用するなど
経営面での選択肢が増えます。


②中小企業倒産防止共済の活用

取引先が倒産したときに連鎖的に倒産や経営難にならないように
資金の手当てをしてもらえる制度です。

加入資格を満たせば不動産賃貸業でも加入できます。

掛金の上限は800万円。
掛金月額は5,000円から20万円までの範囲で選択することができます。

掛金は全額経費計上が可能です。
ただし、中小企業倒産防止共済への掛金の支払いで必要経費に算入することが
出来るのは事業所得のみです。
不動産所得では掛金を必要経費とすることができません。

解約する場合、40か月以上の納付月数があれば100%の返戻率でお金が戻ってきます。
戻ってくるお金は、事業所得の収入金額として課税されます。
同じ年度に大規模修繕で使うなど課税されないように対策が必要です。


【法人化のデメリット】


・コスト

会社を設立するためにはコストがかかります。
合同会社を自分で作ったとしても登録免許税が6万円かかります。
会社を作るコストは最低でも6万円必要です。

素人が法人税申告書作成を行うことは難しいので、
税理士に業務を依頼することになります。

作業は個人よりも煩雑なため税理士の報酬は個人と比べて高額になります。


・手間

複式簿記での記帳を行い、法人税等の申告を行うなど事務の手間が増えます。

・税務・経費の扱いが難しい(税の取扱いの違い)

所得税では交際費等の経費は業務上必要であれば
その損金算入額に限度はありません。

法人税では一部の金額が損金不算入になる可能性があり判断が難しいため
税理士に依頼する必要があります。

・社会保険料の増加

法人及び、5人以上の従業員がいる個人事業主は一部の例外を除いて
社会保険に加入する義務があります。

将来、年金をもらえる、もらえないという議論を抜きにすれば、
国民年金よりも厚生年金の方がもらえる年金額が高くなりますから
保険料の会社負担がキャッシュフローに与える影響は大きくなります。
(社会保険料は給与金額の約30%)

・ 赤字でも税金がかかる

会社を設立すると赤字でも地方税が最低でも年7万円かかります。





法人化を検討する時には個人と法人どちらが税制面でメリットがあるのか、
法人にかかるコストとのバランスを考えて判断して下さい。

おかしな融資スキームのためではなく不動産賃貸業を経営するうえで
個人事業主と法人どちらがメリットがあるのか
現状を税理士等に相談してから法人化を検討されてはいかがでしょうか。


2017年10月10日火曜日

不動産投資をする目的はなんですか?

こんにちは。
栄不動産株式会社です。
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不動産投資だけでなく、さまざまな投資に言えることですが
「投資」は目的達成のための手段でしかありません。

本来は目的を明確にして目的を達成するための計画を立てたうえで
投資方針を決める(物件や融資の利用など)のが正しいのですが、
フルローンが組めるとか有名な投資家が勧めているなどの
目的を達成することと別の方向で投資を進めてしまう人がいます。

目的を持たない人たちは不動産投資をすることが目的になってしまい、
なんのために投資をするのか明確な投資目的を持たずに
不動産投資をしてしまいます。

目的達成のためでなく自分が買える物件に投資をしてしまうので
投資をしたあとで「こんな予定ではなかった」という事になってしまいます。
目的を見失うということは投資の失敗につながる可能性が高いのです。

今回は不動産投資の目的について書こうと思います。





○不動産投資をする目的の代表例





健美家が実施している「不動産投資に関する意識調査」によると
不動産投資を通して描いている目標のベスト5は

1位 働けなくなっても困らないようにする 50.4%
2位 老後の資金・生活費をためる 46.1%
3位 セミリタイアして好きなことをして暮らす 32.5%
4位 今の給与にプラスアルファの余裕を持たせる 27.4%
5位 家族にお金を残す  20.8%       (複数回答可)

こんな結果になっています。

3位のセミリタイア以外は将来の生活のため、
現状の生活を豊かにするための資産形成が目的です。





○自分に目的に合った投資をすることが大切




上記のような多様な目的があるにもかかわらず
『不動産投資は自己資金を使わず、
金融機関から「フルローン」を引き出せば成功だ。』
という風潮があります。

ただ物件だけを増やすのなら、それでもいいでしょう。
しかし、不動産投資を始めた時には目的があったはずです。

投資目的をはっきりさせると、保有期間のめどが決まります。
一般的には運用期間が長いほどリスクをとることができますので
保有期間のめどが決まればリスク許容度を考えることができ、
それによって効率的な投資の計画が可能になります。

リスク許容度が違うのですから投資の計画もいろいろとあるはずです。
しかし、「自己資金を使わず、金融機関から「フルローン」を引き出せば成功だ。」
という風潮のせいでみんなが資産拡大を目指してしまっています。

働き続けながら将来に備えるといった堅実な理由でスタートする人が多いのですが、
堅実だった目的を見失いただ物件を増やすことを優先してしまいがちです。

目的によっては数億規模で投資をする必要はなく
リスクを背負ってまで資産拡大を目指す必要はないのです。


どんな目的であってもお金に困らない生活を送りたいという
根幹は変わらないだろうと思います。

そのためにはどんな資産運用が必要かもう一度、考えてみてください。


2017年9月21日木曜日

アパート・マンション経営の支出

こんにちは。
栄不動産株式会社です。
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アパート経営の採算性を表す指標として「利回り」があります。
投資対象の不動産の価格とそこから得られる賃料収入との関係で表され、
次のような2つの利回りがあります。


表面利回り(%)  =  年間の総収入÷総投資額×100
実質利回り(%)  = (年間の総収入-経費)÷総投資額×100

販売図面やネット広告などに書いてあるのは「表面利回り」です。

実質利回りは仲介会社などから前年の経費を聞いたり、
経費がこのくらいはかかるだろうという予測の基に計算をします。

この経費(アパート・マンション経営の支出)には
どのようなものがあるのでしょうか?




○1棟アパート・マンション経営の支出




①税金
固定資産税・都市計画税・不動産取得税※・登録免許税※・所得税・住民税など
※物件の取得年のみ


②損害保険料 
事業に要する火災保険・地震保険の掛け金で当年度分


③修繕費
建物、設備等の修理代金や原状回復費用など 

・大規模修繕
国交省のマンションの修繕積立金に関するガイドラインでは
15階未満、延べ床面積5,000㎡未満の建物の場合、
1㎡あたり208円が目安としています。

これを目安に賃料の3~5%程度は住みたてておく必要があります。

・原状回復
入居期間や部屋の広さ、室内の状況によって異なります。



④ローン返済 
ローンを利用している場合


⑤地代・家賃 
借地の場合の賃料


⑥手数料 
不動産会社への入居者募集・契約更新に関する手数料など。


⑦委託管理費 
不動産会社へ支払う管理費など
入居者や家賃の集金などの賃貸管理は収入の5%程度が一般的。
その他に実費で清掃費用など


⑧各種点検費用(建物の規模・設置状況により異なる)
・消防点検(建物の規模により3~10万円程度)
・受水槽(水量によって3~10万円程度)
・エレベーター(月額2~5万円程度、契約形態により異なる)など。


⑨水道光熱費 
共用部分の水道料・電気料・ガス料など。


⑩広告宣伝費 
入居者募集広告に要した費用など
客付仲介会社への報酬化しており地域によって異なる。

賃貸需要の高い地域ではかからないことも。
賃貸需要の低い地域や競争の激しい地域では賃料の2~3ヶ月分が
必要となる場合もある。



○区分所有のマンション(1室)の支出



①税金


②損害保険料 


③管理費・修繕積立金
管理組合に支払う管理費・修繕積立金
区分所有のマンションは管理組合に支払うので
自分で積み立てる必要はありません。


④修繕費
専有部分の設備等の修理代金や原状回復費用など 


⑤ローン返済 


⑥地代・家賃 


⑦手数料 


⑧委託管理費 


⑨広告宣伝費 



○経費率は地域差に注意



シミュレーションをする時に家賃に対する経費の割合を
一律で考えてしまう人がいます。

広告費は地域によって相場に差がありますし、
建物の規模によっては各種点検費用が必要になる可能性もあります。

東京と地方の比較をすると同じ面積でも家賃は半分というのは
よくあることです。

同じ面積なら同じ原状回復工事をすれば同じ費用がかかります。
物価の差などを考慮しても地方だから原状回復費用が
半額ということはないでしょう。


例えば月額の賃料が50万円の同スペックの1Kタイプのアパートが
東京と地方にあるとします。

東京の家賃が5万円だとしたら10室のアパートということになります。
家賃が半額だとすると地方都市の物件は20室のアパートです。

年間10%の入居者が入れ替わるとしたら東京のアパートは1室、
地方のアパートは2室入居者の入れ替えがあります。

単純に原状回復や新規入居者の募集の経費は東京の倍かかることになります。
極端な例をあげましたが、地域の賃貸需要や入居者の属性などの
実態にあった経費割合を選択する必要があります。



○アパート・マンション経営は投資ではなく事業




不動産投資はお金を投入して終了ではなく、
購入後の運営で収支が大きく変わる事業的な面があります。

賃貸物件を所有した瞬間から不動産賃貸業という事業が始まります。

家賃収入が入ってくるので比較的安定していますが、
事業の継続のためには物件の管理・修繕のための支出や
トラブルが起きた時のリスク管理のための保険の支出があります。

予想外の設備の故障などのための資金の確保も必要となります。
この辺りは他の業種の事業と同じ部分があると思います。

ローンが組めるから、利回りが高いから、積算評価が高いからといった
条件だけでなくその物件の運営にはどのような費用が必要なのか
必ず事前に確認をしてください。

副業や投資ではなく事業をするという意識をもって
物件を購入することが失敗を防ぐ手段になります。


2017年9月8日金曜日

不動産投資と情報リテラシー

こんにちは。
栄不動産株式会社です。
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8月31日のサッカー日本代表VSオーストラリア代表の試合で
日本代表のワールドカップ出場が決まりました。

翌日、ネットのスポーツニュースはサッカー日本代表の
話題一色だったのですが、その中で面白い記事がありました。

「ハリルホジッチ監督を酷評する理由をスポーツ新聞記者に聞いてみた」
https://news.yahoo.co.jp/byline/murakamiashishi/20161013-00063201/

この記事は約1年前のものです。
おそらくネットニュースが関連記事として自動で拾ってきたものだと思います。

登場人物は匿名なので真偽のほどは分かりませんが
成績にかかわらず年中解任記事が出ていたのでなんとなく
納得しまうような内容でした。


この記事の中に
「今は情報リテラシーが問われる時代だ。
マスメディアが発信する記事の裏にはどういった事情があるのか、
常に疑う姿勢が必要とも言える。
自身の眼で正しく情報の取捨選択をしてほしい」という記載があります。

リテラシーというのは「適切に理解・解釈・分析し、改めて記述・表現する」
という意味ですが不動産投資や資産運用に関しても
同じことが言えるのではないでしょうか。

今回は不動産投資と情報リテラシーについて考えてみました。



先月末から今月に不動産投資関連の話題でこんなことが起きていました。

元メガバンクの支店長で現在はTSネッツ代表取締役の菅井敏之さんが
Facebookにこんな投稿をしました。
https://www.facebook.com/toshiyuki.sugai.7/posts/1470668099667660?pnref=story

「複数法人を利用した融資スキーム」への警告です。


菅井さんは以前から銀行を欺く融資手法に警鐘を鳴らしていました。
その活動で上記の投稿をされたわけですが、たくさんの反応があったようです。
https://www.facebook.com/toshiyuki.sugai.7/posts/1477494332318370?pnref=story


この複数法人スキームについては当社とお取引をいただいている
金融機関とも話したことがありますがどの金融機関も一括返済、
実行前に発覚した場合には融資内定の取り消しという対応をするとのことですし、
実際に対応した案件も数件あるそうです。

最近では審査の際に提出した情報に間違いがないという書面を提出させる
金融機関もでてきています。

著者が誰か分かる本や実名で公開されているブログ・動画などでは
推奨する人はいないスキームなので正攻法でないのは間違いないでしょう。


当社がもともと「1棟1法人の融資スキーム」や
「契約書の改ざんによるオーバーローン」には
否定的な立場であることを差し引いても
菅井さんは正しい警告をしているように感じますが、
そうでない反応もたくさんあるわけです。


この融資スキームの話題に限らず、不動産投資については

たくさんの情報があり、情報の取捨選択がとても重要になっています。



相場に関することや賃貸の需給状況、金融機関に関することなど
多様なソースから色々なものを見聞きして、その情報の価値を
判断しなければなりません。

不動産投資のセミナーや投資本などでは良いことだけしか
聞かせてもらえないことも多いですし
どうしても自分にとって悪い情報は重要視できない気持ちもあると思います。

不動産投資のセミナーでは「素直な人が成功します」「考えるよるまず行動」
のような話がされることが多いようです。


違法性などを感じる時にはどんなに魅力的な話しであっても
「それでも、その手法は選択しない」という判断が必要です。


不動産投資は正規の方法でも十分に利益を出せる可能性があります。
自分の身を守るためにはぜひ正攻法で進めていくようにしてください。



2017年8月25日金曜日

自己資金が戻ってくる? 消費税還付

こんにちは。
栄不動産株式会社です。
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今回は消費税還付についてお話します。
不動産投資のセミナーなどでは「1物件1法人」のスキームと共に
とりあげられていることが多いので耳にしたことがあるかもしれません。


賃貸アパートやマンションなどを売却すると消費税が課税されます。
世の中の投資用不動産の建物部分には消費税が課税されているのです。
(土地部分には消費税はかかりません)

建物価格が2,000万円だとしたら160万円の消費税が
物件の価格に含まれています。

この160万円の消費税が一定の条件を満たせば
戻ってくるというのが「消費税還付」です。



〇消費税が戻ってくるためには



消費税は課税売上に含まれる消費税から仕入れや経費の支出に含めて支払った
消費税を差し引いて、引ききれなかった金額があるときはその金額が還付されます。


①消費税課税事業者選択届出書の提出
届出書の提出は物件取得前に行います。

②建物の購入(完成)月に消費税の非課税売上を発生させない。
=家賃を受け取らない。
決済日を月末に設定し、日割家賃は受け取らないよう調整します。

③建物の購入(完成)月に消費税の課税売上を発生させる
自販機・物販・駐車場収入などの課税売上を発生させます。

④消費税の確定申告書(還付申請書)を提出する。

⑤還付申告年を含めて3年間の課税売上割合の推移に注意しながら
課税売上を計上し続ける。


〇消費税還付は難しい



・一度還付された消費税を返還させられる「還付金返納」


消費税還付で一番面倒なのが「課税売上割合が著しく変動したときの調整」です。
これは消費税還付のためだけに一時的に課税売上を発生させて
還付を受けることを防ぐためのものです。

※課税売上割合とは課税売上/(課税売上+非課税売上)です。

➀還付を受けた初年度の課税売上割合を計算する
②還付を受けた年を含む3年間の通算課税売上割合
 (総売上3年分/課税売上3年分)を計算する
この➀②の変動率と変動差を数値化して変動率50%以上、
 かつ変動差5%以上となった場合、還付金は返納しなければならない。

課税売上を発生させるためには金の取引を行うことが多いようです。


・融資を受ける金融融機関によっては消費税還付ができない


金融機関によっては資産管理会社への融資の場合に
不動産賃貸業専業とすることを条件とされる場合があります。

その場合には課税売上を発生させるための金の取引などの行為ができないため
消費税還付はできません。

・税務調査の対象になりやすい


租税回避行為とみなされやすい消費税還付は税務調査の対象となりやすくなります。
還付金が多ければ確実に税務調査がきます。



〇消費税還付やるかやらないか


・必ず税理士に頼む

課税売上のコントロールや申告書の作成、税務調査対策など
難易度の高い部分があります。

報酬はそれなりに高いですが必ず消費税還付に
詳しい税理士に依頼しましょう。


・面倒くさい

課税売上のコントロールのために不動産賃貸業以外の
課税売上を発生させなければなりません。

定期的に金の取引などを行う必要があり、時間と手間がかかります。


・リスクがあることを認識する

➀失敗すれば還付された消費税は返納しなければなりません。

②課税売上を発生させるための金の取引は元本割れの可能性があります。
 金の取引業者への販売手数料の支払いなども発生することもあります。

③不動産の消費税還付は租税回避行為として次々と道を塞がれています。
 抜け道はあっても税務署には目をつけられやすいため
 今後の不動産賃貸業運営時に調査を受ける可能性もあります。



消費税還付をやるかやらないかは投資家個人の考え方次第ですが
気をつけてやらないと課税売上を発生させるための事業での損失や
還付金返納など大きなダメージを受ける可能性があります。

くれぐれもご注意ください。

2017年8月9日水曜日

買ったら債務超過? 失敗者続出の新築マンション投資②

こんにちは。
栄不動産株式会社です。
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前回は新築マンションの投資目的についてとりあげ
目的にあっていれば新築マンションへの投資は
間違っていないとお話ししました。

今回はどうして新築マンション投資は失敗者が続出してしまうのか
説明します。




〇投資目的に合っているか確認不足




前回、新築マンションに投資する目的を4つあげました。
➀節税のため ②生命保険の代わり ③個人年金として ④投資として

この目的にはあっているか判断が甘いために
投資が失敗しているケースが多いのです。

判断の甘さは正しいシミュレーションができないことが原因です。


・新築物件の家賃は高い



当然のことですが、新築物件の家賃は割高です。
設備は最新で今までの誰も使っていない新品の設備に住むのですから
プレミアム家賃なのは仕方がないでしょう。

そのプレミアム家賃は間違いなく下がるということを考慮して
シミュレーションをしなければなりません。

そのうえで個人年金や投資として成立するのか考えて投資をするか判断します。


・売却損が出やすい



新築マンションの価格は新築プレミアムの家賃で設定されています。
入居者が入れ替わった時に家賃が相場通りになれば、
その部屋の価格はその時点で大きく値下がりします。

例えば1,920万円の新築物件を表面利回り5%で買ったとします。
家賃は8万円です。

4年後に入居者が入れ替わって家賃が7万円に下がったとしたら
同じ5%の利回りで売っても1,680万円です。


フルローンで購入しているなど融資の割合が多いと
家賃の値下がりによる収支の悪化に耐えられず売却をしようと考えます。

しかし、元利均等返済の場合、返済初期は利息返済の割合が高いため
残債はそれほど減っていないことが多く売却損が出てしまうのです。


・節税効果は高くない



前回の記事でも取り上げたとおり所得税・住民税の節税効果は高くありません。
相続税という点では一定の効果がありますが、所得税・住民税の節税を
期待しても融資の割合によっては節税のために赤字の物件を
持ち続けることになります。

赤字になってしまった物件の節税効果は支払いを免れた税額と
節税効果のために補てんしたキャッシュフローの赤字部分と
どちらが多いかという判断になります。



〇資産規模の拡大が難しい




分譲マンションを投資目的で購入している人はたくさんいますが、
ポートフォリオに新築で購入して収支が赤字のマンションがあると
銀行から融資を受けられずに物件購入が続けられない人がいます。

不動産投資は不動産賃貸業です。
収支が赤字(数年後に赤字になりうる)の物件を持っている人には
銀行はお金を貸しません。

銀行は不動産賃貸業という事業にお金を貸すのですから
当然、利益の出ていない事業の拡大にお金は貸せないということです。

節税や生命保険の代わりなどいろいろな投資の目的がありますが、
銀行は節税を認めません。

生命保険に加入していても融資の審査に影響はありませんが
生命保険の代わりにマンションを購入して返済をしているという
論理は認めません。

節税は利益を減らすことによって行われます。
生命保険の代わりでも赤字のマンションは負債となります。

儲かっていない事業をしていると判断されてしまうので融資には不利になります。


○新築マンション投資で失敗しないために気をつけること



➀家賃が下がることを認識する。


家賃は必ず下がります。特に最初の入居者の退去後は下落幅も大きいです。


②フルローンは避ける


新築の物件は中古物件に比べてフルローンが組みやすいということもあり、
提携ローンを利用して全額ローンで物件を買ってしまう人がいます。

当然ですが、新築物件は中古物件よりも利回りが低いです。
家賃が下がった時にフルローンを組んでいてローン返済額が多い人は
収支が赤字になってしまうケースがよくみられます。


③購入前に楽観的なシミュレーションをしない



購入前に現実的な条件でシミュレーションをしましょう。
1年分ではなく保有予定期間分のシミュレーションです。

「家賃は築年数に応じて下がる」、「節税分を収益と考えない」、
「修繕の費用を積み立てる」などの厳しいシミュレーションが大切です。


④キャッシュフローが赤字になったら損切りも覚悟する



現金購入や低返済比率なら問題ありませんが、融資の割合が多く
キャッシュフローが赤字になってしまったら手元の資金を投入してでも
損切りをする覚悟が必要です。

赤字のまま保有を続けても下がった家賃が新築時の水準に
回復する見込みはありません。

収入は増えないのですからローンの返済が終わるまで
キャッシュフローの赤字は数年にわたって続きます。

赤字を作ることが目的でないのなら繰り上げ返済でキャッシュフローを改善するか
売却して損切りを検討してください。

不動産賃貸業として事業を拡大したい人も
収支が赤字の物件は処分をして出直しをお勧めします。





どの物件の種別でも同じですが、最終的には購入目的にあうかどうかです。
あくまで税金対策なのか、生命保険の代わりなのか、不動産賃貸業なのか。

購入前に購入目的にあわせたシミュレーションをして
目的にあわせた物件を購入して下さい。




地価の変動から投資対象地を考える

こんにちは。 栄不動産株式会社です。 http://s-fudousan.cbiz.co.jp 平成30年の「公示地価」が3月27日に公表され、関東南部を中心とする 「東京圏」は住宅地、商業地ともに5年連続で上昇しました。 特に東京23区ではすべて地点で地価が上昇し...